アクセシビリティを考える

岡山で「リーダブルな夜」というアクセシビリティに関する情報共有を中心に考える勉強会を澤田さん前川さんが立ち上げ、私も運営の手伝いを少しだけさせてもらっています。

その際に少し思ったことがあってちょっとダラダラと思ったことを書いてみた。本当にダラダラとしているので悪しからず。

altを考える

先日11/5に「代替テキスト祭り」というテーマで開催し、私も進行役としてお手伝いをすることになりました。

写真:勉強会参加者の写真。15,6名の参加者がスマホやPCを操作している
事前に用意しておいたフォームに入力していただくワーク中。

最初に先入観のない状態で、お題の画像にそれぞれ代替テキストを入力してもらうワークを行い、そのあと澤田さんのセッション。最後に答え合わせ。
答えといっても明確で確実な正解はないので、「これはどういった理由で入れた?」「他の人はどう入れている?」などガヤガヤするといった流れで進行。

私の進行はグダグダでしたが、普段何気なく入れている“alt”についてここまで考えることはそうない事なのでとても面白かったです。

そもそもaltは“誰が考える”のか

勉強会が終わり、平日なのでみんなご飯を食べて帰ろう、というくらいの軽い懇親会で「altってよく考えれば深いね」という流れから、ふと。

今回参加くださった参加者さんたちは、会社員・フリーランスのデザイナー、コーダー、エンジニア。全部やる人も。
ただ、今回の“alt”って果たして今回参加くださった「制作者」の人たちか?

澤田さんに聞くと「ウェブサイトの原稿を書く人(つまりクライアント)が良いよね本当は」と。そうですよね。そうなの。

コーダーが親切丁寧に考え入力するのが正解ではないよね。
原稿をもらってaltをしっかり入れる必要のあるオブジェクトを設置するデザインをしたデザイナーか?それもおそらく違う。
クライアントに「ここの画像の代替テキストくださ〜い」で良い話でもない。
altに限らず、またアクセシビリティにも限らず、クライアントに説明し、費用をいただき、協力して進行するのがディレクターだよねーと。

ディレクター目線のアクセシビリティ

私は現職場に転職し、デザイナーからディレクターになって1年と少し。
ディレクターとして覚えておくべきことなどまだまだ山積み。

この1年で担当した案件で「アクセシビリティ」と要件に入っているものはほとんどなく、できることをできる範囲で、できる限りは対応したつもりではあるが、こちらからの提案などはできていない。

提案するには、アクセシビリティが何のために必要なものか、そしてクライアントの協力が不可欠である事を説明する必要があるし、そのためにディレクターは基本的なことは一通り網羅する必要があると思っている。

弊社だけでなくおそらく地方の小規模案件では予算が潤沢にないところがほとんどで、見積もりの金額に当たり前のように「アクセシビリティ」を載せるのは少しまだ難しい。

そこでクライアントに説明し理解して頂きアクセシビリティ対応の予算をなんとかねじ込むことができれば良いが、「うちには不要」と断られた場合でも、そうですか了解です。と完全に無視して良いものではないはず。

この辺りはディレクターというか営業目線の話な気もしてきた。会社によるかもしれない。

ディレクターがすべきこととそうでないこと

アクセシビリティ対応をする際、ディレクターはどこから何までをしたら良いのだろう。
等級は一部AAをどこまで対応する、を決めたり、クライアントに原稿を書いて貰うためのテンプレートを作る、とかそんな細々したことだったり。

では、デザインやモック、プロトタイプを作成する段階で色のコントラスト比をチェックするのはディレクターか?それくらいはデザイナーに任せるべきか?

また、フォームにはlabelを使っているか、タイトルはheddingを使っているか、その他にもソースコードを見ないとチェックできない部分までディレクターがチェックするのか?コーダーに指示を出して信頼して終わりか?

アクセシビリティ対応しています、と大きくうたっている制作会社はどういう体制をとっているのだろう。

制作者目線のはなし

前職場では私もデザイン・コーディングを主としていて、その間もアクセシビリティの勉強会にも参加したし、覚えたことを実行してみたくて覚える前にはやっていなかったことに時間を掛けるようになっていた。

いま思えば、クライアントやそのサイトの利用ユーザーにとってはおそらく良いことではあるが、私の所属会社からしたら?お金をもらっていない作業を勝手にやっていた、だけだ。
もしかしたら、その時間で外注発注していた案件が1本や2本社内で回せたかもしれない。

こんなことを書くと「制作者が言われてもないことを勝手にするな」と思われそうなので書いておくけど断じてそんなことは言っておりません!笑

制作者の担当するアクセシビリティは、コツがあるような気がしていて、覚えて身につければ自然とできるものになる(と思う)ので、最初の学習コストとして必要かなとは思う。

ディレクターと制作者と外部パートナー

先述したことで、ディレクターがどこまでするの?また、制作者に任せたとして、そのチェックはどこまでディレクターがすればいい?
というか、コーディング全ページチェックするとか現実的には不可能だし…

私が取れる手段としては、上がってきたコーディングのアクセシビリティチェックなどは外部パートナーのアクセシビリティの専門家に依頼しよう、というところで落ち着いた。
実際に一度大きめの案件でお願いしてみて、そのチェックのおかげで社内のコーダーの知識としても蓄積されたはず。
ただお願いできるのは予算が取れた案件だけなので、この辺はどうするかは今後の課題。

リーダブルな夜、勉強会、セミナー

話が戻り、勉強会 リーダブルな夜「代替テキスト祭り」
先述で「altって制作者が考えるものじゃないよね」という話で終わってしまうと、その勉強会自体はなんのためにやったの?となってしまうので、それについても考えてみた。

そのことで澤田さんに貰ったアドバイスと言葉を借りると、
アクセシビリティをもっと身近に、特別なものでなく当たり前のものにするために、ディレクターもデザイナーもエンジニアも基本的な知識、考え方を身につける、またより上流に向けて発信、啓蒙する、できるようになる。
また、ウェブ制作全体において、自分たちが何を担保すべきか理解する。そういう方向性だと思っていて間違いはないのかなと。

今回のaltについてのみの話だと、デザイナーやエンジニアは、altに「何を書くべきか」より「どう書くべきか」というテクニック的な部分を押さえておき、上がってきた原稿をより伝わりやすく推敲するという分担ができるようにできるといいね。

なんて、今になってこの辺りで腑に落ちたものの、開催前にテーマが「altを考える」となった時点で今まで書いたことに早めに疑問を感じ、このブログに書いたことを代替テキスト祭りの最後に話せたらよかったかもしれない。せっかく私が進行させて貰った回だったわけだし。

リーダブルな夜でなく他のセミナーのお手伝いもさせてもらっているが、それらの開催テーマを決める際や、決まってから内容を決める際など、参加者が何を望んでいるか、そしてこのセミナー内容はどういった人に向けたどういった内容か、をきちんと伝えられているか?とも思い始め、これについて書くとまた長くなるので別の機会に。

次回のリーダブルな夜

次回は、2019 年1月15日(火)19:30~21:00で
スクリーンリーダーをいろいろ触ってみよう」をテーマで開催します!

興味のある方はぜひご参加くださいませ。
申し込みはconnpassからお願いします!

これも、私や参加される制作者のみなさまが普段は使うことのほとんどないスクリーンリーダーについて。
これがどういったものか理解し、どういった対応ができるか、すべきかを考えられるようになるといいね。